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戸籍は何種類?相続に必要?戸籍を取得する際に知っておきたい3つの種類を解説
戸籍は何種類?相続に必要?戸籍を取得する際に知っておきたい3つの種類を解説
掲載日:2023年10月31日 カテゴリー:資産相続
INDEX
1. 戸籍の面白み「都市伝説と溢れる個性」
2. 戸籍には3つの種類がある
3. 相続手続きには上記3つ全てが戸籍が必要な場合が多い
4. 戸籍謄本の取得は専門家にお任せ下さい
5. Written by..
戸籍の面白み「都市伝説と溢れる個性」
日頃、証明書として戸籍を求められるということはあまりないですよね。
だからでしょうか・・・戸籍にまつわる「都市伝説」というものが多々存在します。
「戸籍を見て実は自分は養子だったことを知った」
「一人っ子だと思っていたら、会ったことのない兄妹がいた。」
なんて話を聞いて、子供の頃は「戸籍」というものにただならぬ恐怖心を感じていた記憶があります。あの頃のイメージ図は完全に「忍者が持ってるよう巻物」でした。ちなみに、破産したことが戸籍に載るなんてこともただの都市伝説です。そんなことはありませんので安心して下さい。
この誤解は今でも根強く、破産手続きのご相談をお受けする際に結構な確率で聞かれます。破産したら選挙権がなくなる。海外旅行にいけなくなる、なんて話も聞きますが、それも誤解です。
戸籍をご覧になられたことがある方ならお分かり頂けるでしょうが、昔の戸籍は手書きでした。「手書き」と聞くと、時代を感じて何だか暖かい気持ちになりますが、正直我々にとっては辛いところです。というのも、今も昔も「筆跡」には人それぞれ、個性があるものです。まるで教科書のような美しい字体もあれば、丸々として可愛らしかったり、角ばっていて強そうだったり、なんて書いてあるのか分からない達筆すぎて流れるような、というかむしろ流れてしまっている字体(←これが一番辛い)など・・・新人の頃はこの独特の字体の判別に苦労して相続関係を読み解くのに長い時間がかかっていましたが、不思議なもので慣れてくると案外その字体の違いを楽しめたりもします。
戸籍を見せ合いながら「これ、なんて書いてあると思う?」と意見を募るのは司法書士事務所あるあるです。事務所の一番ベテランスタッフが見ても読めない字は、管轄の役所にFAXして読解をお願いすることもあります。管轄の役所の人はその独特な字体を見慣れているので、よりスムーズなんです。特殊技能だと毎回尊敬の念を抱きます。また、手書きで面白いのは「似てるけど、少し違う」辞書にも載っていないような字が氏名に使われていることがあります。そういう時システムでは出てこないうえに、人様のお名前を間違えるのは失礼だからと自力で「旧字」を作ったりと苦労するのですが、その字になった理由は当時の戸籍課の担当の人の「書き間違え」が原因だったりするそうです。
そう、「戸籍」も掘り下げてみれば実に面白い世界なのです。
戸籍には3つの種類がある
さて、その戸籍についてですが、実は一般的に「戸籍」と言われるものも正しく分ければ3種類あります。
謄本(とうほん)とはその戸籍に入っている全員が記載されているもので、抄本(しょうほん)というものもあります。抄本はその戸籍に入っている一部の者が記載されているものです。現在は戸籍のコンピューター化に伴い、戸籍謄本のことを「戸籍全部事項証明書」と呼び、戸籍抄本のことを「戸籍一部事項証明書」と呼びます。
しかし、戸籍全部事項証明書という呼び名はいまだ浸透しておらず、相変わらず「戸籍謄本」と呼ばれています。我々のように、実務で戸籍を扱う人間でも「戸籍謄本」と言っています。
それでは上記3つの種類の違いについて、詳しく説明しましょう。
【 ① 戸籍謄本 】
今現在の戸籍のことをいい「現戸籍(げんこせき)」又は「現在(げんざい)戸籍」とも呼ばれています。
なぜ「現戸籍(げんこせき)」又は「現在(げんざい)戸籍」と呼ばれているかは、以下の「改正原戸籍謄本」や「除籍謄本」のことが分かれば、自ずと理解できると思います。
【 ② 改製原戸籍謄本 】
法律の改正により新しい書式の戸籍に作り替えることを改製と言います。
過去に、明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年の5回にわたって法律が改正され、戸籍が改製されました。戸籍が改製された場合、すべての戸籍を新しい書式に書き換えることになりますが、戸籍に記載されているすべての事項が新しい書式に書き写されるわけではありません。過去の事実を残しておくために新戸籍に作り替えられた後も残される元の戸籍を「改製原戸籍謄本」と呼びます。もっと分かりやすく言うと「法律の改正により強制的に抜け殻となった戸籍」のことです。
【 ③ 除籍謄本 】
婚姻や離婚や死亡などにより、戸籍に記載されている者が全員いなくなってしまった場合や全員が転籍(本籍地を他に移す)をした場合、もともとあった戸籍は除籍となり保管されます。
相続手続きには上記3つ全てが戸籍が必要な場合が多い
相続が発生し被相続人(亡くなった方)の財産(預貯金や不動産)の名義変更を行おうとする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍の取得が必要となります。
上記①から③をお読み頂いた方ならお分かりになると思いますが、一言で「戸籍」といっても【①戸籍謄本(現在戸籍)】のみを指すのではなく、「出生から死亡までの戸籍」となると、改正原戸籍謄本や除籍謄本も併せて取得することが必要となります。
マイナンバーカードが普及し、今ではコンビニで戸籍が取れる時代になりました。しかし、コンビニで取れる戸籍は現在戸籍のみで改正原戸籍や除籍は取得出来ません。
よって、相続手続きに戸籍が必要な場合、役所に行くことは必須になります。
更に、被相続人の本籍地が転々としている場合、一つの役所では取得できず、何箇所もの役所に申請が必要です。想像通りなかなか大変な作業といえます。
戸籍謄本の取得は専門家にお任せ下さい
相続手続きで必要な戸籍謄本は除籍謄本・改正原戸籍・現在戸籍の3種類全ての戸籍が必要なケースも多く、自分ですべてをもれなく取得するのは大変です。
更に亡くなった順番によって、出生から死亡までの戸籍が必要な方の数も変わります。
司法書士などの専門家へ依頼すれば、労力や時間を節約できますし、交通費を考えたら報酬を支払った方が安かった、なんてこともあります。
相続で戸籍謄本を取得する必要が生じたら、専門家にご相談下さい。
Written by..
進藤 亜由子 氏
ふくおか司法書士法人 共同代表
1985年、福岡市西区出身。早稲田大学在学中の平成19年度最年少での司法書士試験合格から現在に至るまで司法書士業界一筋。
大手ディベロッパー会社の登記を一手に請け負う東京の司法書士事務所で不動産登記の経験を積み、地元の福岡に戻り、債務整理手続きに特化した司法書士法人で債務整理の経験を積んだ後、独立し伊都司法書士事務所を開設。開業当初より地銀や大手ハウスメーカーからの指定を受け多くの登記手続きを受任。更に債務整理事務所勤務の経験も活かし借金に悩む多くの方の借金問題を解決へと導く。
その後、ふくおか司法書士法人を立ち上げる。他の事務所で断られた複雑な案件を解決し続け、その実績をコラムで紹介。記事を見て全国から相談者が集まる。現在は、相続・遺言手続きセンター福岡支部を運営。事務所内に相続に特化した専門チームを作り、相続に強い司法書士として日々多くの相談に応じている。
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だからでしょうか・・・戸籍にまつわる「都市伝説」というものが多々存在します。
「戸籍を見て実は自分は養子だったことを知った」
「一人っ子だと思っていたら、会ったことのない兄妹がいた。」
なんて話を聞いて、子供の頃は「戸籍」というものにただならぬ恐怖心を感じていた記憶があります。あの頃のイメージ図は完全に「忍者が持ってるよう巻物」でした。ちなみに、破産したことが戸籍に載るなんてこともただの都市伝説です。そんなことはありませんので安心して下さい。
この誤解は今でも根強く、破産手続きのご相談をお受けする際に結構な確率で聞かれます。破産したら選挙権がなくなる。海外旅行にいけなくなる、なんて話も聞きますが、それも誤解です。
戸籍をご覧になられたことがある方ならお分かり頂けるでしょうが、昔の戸籍は手書きでした。「手書き」と聞くと、時代を感じて何だか暖かい気持ちになりますが、正直我々にとっては辛いところです。というのも、今も昔も「筆跡」には人それぞれ、個性があるものです。まるで教科書のような美しい字体もあれば、丸々として可愛らしかったり、角ばっていて強そうだったり、なんて書いてあるのか分からない達筆すぎて流れるような、というかむしろ流れてしまっている字体(←これが一番辛い)など・・・新人の頃はこの独特の字体の判別に苦労して相続関係を読み解くのに長い時間がかかっていましたが、不思議なもので慣れてくると案外その字体の違いを楽しめたりもします。
戸籍を見せ合いながら「これ、なんて書いてあると思う?」と意見を募るのは司法書士事務所あるあるです。事務所の一番ベテランスタッフが見ても読めない字は、管轄の役所にFAXして読解をお願いすることもあります。管轄の役所の人はその独特な字体を見慣れているので、よりスムーズなんです。特殊技能だと毎回尊敬の念を抱きます。また、手書きで面白いのは「似てるけど、少し違う」辞書にも載っていないような字が氏名に使われていることがあります。そういう時システムでは出てこないうえに、人様のお名前を間違えるのは失礼だからと自力で「旧字」を作ったりと苦労するのですが、その字になった理由は当時の戸籍課の担当の人の「書き間違え」が原因だったりするそうです。
そう、「戸籍」も掘り下げてみれば実に面白い世界なのです。