福島 卓先生 x 大久保 圭祐 : 100CHインタビュー

掲載日:2022年08月25日 カテゴリー:100CH
福島 卓先生 x 大久保 圭祐 : 100CHインタビュー(0)
「人生に、経営力。」を実践されている方々のお話をお届けしている「100CHインタビュー」。
今回は、不動産投資家であり「資産サポーター」としてご協力をいただいている、ふくおか司法書士法人代表「福島 卓」先生に、弊社資産ソリューション課「大久保 圭祐」が対談形式のインタビューをさせていただきました。

弊社の「資産サポーター」に入っていただいたきっかけと、思いをお聞かせください

福島卓:弊社には不動産をお持ちの方から、相続や相続対策などのご相談をいただく機会が多くあります。その中で「どこに相談していいかわからない」という方が、インターネットやご紹介を通じて弊社にご相談いただき、「あなたに相談してよかった」と言っていただけることが私の最高の喜びです。
資産サポーターに入ったきっかけは、専門家の横の連携を組んでいることで、様々な事案においてお客様にご安心いただける環境があったことです。そういった取り組みができる「資産サポーター」には、できればこれからも活動を広げていただいて、そこで私たちも少しではありますが協力しながら「相続サービス」をより浸透させていけたらなと思っております。

相続を受ける側、相続をする側に必要な意識づけや気をつけなければいけない事を教えて下さい

福島卓:「相続」は「争族」という字を使用することがよくあります。現代は、相続に関する自分の権利や法律上の相続分について知る機会が、テレビや雑誌、インターネットなどいたるところにあります。それによって「相続をする方」の想いと「相続を受け取る方」の気持ちがずれているという事がよくあります。そういった想いの違いやトラブルの種が相続には常にある、という気持ちをまずお持ちいただく事が非常に大事だと思います。そして、どんな状況であってもご自身に万が一のことがあった時のことを考えて何か準備を始めようという姿勢、これは相続する方・される方、どちらにも必要ではないかなと思います。

大久保圭祐:先ほど先生から「争族」のお話がありましたが、これに関連する具体的なエピソードはありますか?

福島卓:よくあるのは遺言書の存在が絡んでくる場合ですね。
私が以前お受けしたご相談も遺言書自体はあったのですが、そこには「長男に託す」と書いてありました。このように表現が曖昧だったりとか、伝わらない内容だったりすると、どうしても遺言書通りの効力を生じない場合があります。
話を聞いてみると遺言者は、長男に全てを譲るという意思だったようですし、相談者である長男も自分が全て受け取る前提だったようです。しかし結果的にこの遺言書が「争い」に発展してしまいました。

「託す」という表現では、財産を相続させたいのか、相続人への分配方法を託すのか明確ではありません。同じ理由で「任せる」や「委ねる」もNG です。「無効」とは言い切れませんが、この遺言書では相続登記もできないし、金融機関でも受け入れられない。結局相続人全員の同意がいる、またはその有効性を裁判で争う、となれば遺言書を遺した意味がなくなってしまいます。
遺言者からしたら、長男に託した想いは他の子どもに伝わって、他の相続人も意思を尊重してくれるだろう、という期待もあったかもしれない。気持ちはよくわかります。でも逆に、その遺言書の存在が、兄弟の仲に陰りをのこすことがあります。兄弟は常に親の愛情を奪い合うライバル的な存在でもあるので、仕方ない面もあると感じます。

なので、遺言書はあくまで「争族」を防ぐために作るものであることを念頭に置いて、法解釈で争う余地を残さずに作成すること、さらに弊社では税理士の先生とも協力して、税金面にも有利な遺言書の作成を提案しています。
また、遺言書を作る準備はしていたけど、作成が完了しない間にお亡くなりになってしまい、相続人がお困りになるということもありました。その時、私に相談しておいてくれたら・・・と歯がゆい思いをしたこともあります。このようにご自身で悩んで考えて進まない、という事態を避けるためにも、まずは専門家に相談して下さい。

不動産登記の「共有名義」について

大久保圭祐:「不動産登記」と言いますと、よく聞くのが「自分達は仲がいいから関係ないだろう」と共有名義にした結果方向性の違いなどで争いに発展してしまう事が多いと思います。「共有名義」に関してはどうお考えになりますか?

福島卓:最終的には相続人の皆さんでお決めになる事だとは思うのですが、個人的には、お一人の名義にしていただくのがいいと思います。
どういう基準で1 人に絞るのかというと、その不動産を引き継ぎたいというお考えがあるのか。また、お金を代表で払うということになると思いますので、そのお金をどうやって準備するのか、そういう部分がまとまるのでしたらお一人の名義の方が今後の管理や処分についてもやり易いのではないかと思います。

どのようなサポートが受けられるか教えて下さい

福島卓:相続が発生した後の不動産に関するお手続きはもちろん、まだお元気なうちでも相続対策や認知症になる前の対策、遺言書の作成などもサポートさせていただいております。また、弊社は「相続・遺言手続センター」を運営しており、税理士やその他の専門家も揃っております。
そこでは手続き以外の相続税に関すること、財産の処分等についてもサポートさせていただくことができます。
福島 卓先生 x 大久保 圭祐 : 100CHインタビュー(2)

不動産経営について大切にしていること

大久保圭祐:司法書士でありながら、不動産投資家としての顔もお持ちの福島先生ですが、不動産経営で大切にしていることはありますか?

福島卓:不動産投資を含め、投資については皆さんお考えがあると思うのですが、私たちのような30 代、40 代は働いていますから、まずは自分の生活にどのくらいの家賃収入が必要かを考えることを大きく意識していますね。
たくさんお金を借りたら、当然たくさん不動産を買えます。しかし、収入が増えた所でそんなに生活は変わらないと思っています。なので無理な投資をしないためにも、将来も見据えた上で自分の生活に本当に必要な分だけを投資するようにしています。

大久保圭祐:国が「老後2,000万円問題」と呼びかけているせいか、弊社でも「とにかく収益物件が欲しい」という相談が多いのですが、そういう方に向けて気を付けなければいけない事などを教えていただけますか?

福島卓:投資は全てにおいてリスクがあるものだと考えていた方がいいと思います。なので、私は一度立ち止まって家族に相談して、その上で買うか買わないを決めています。

大久保圭祐:先生が物件を選ぶ上でポイントにしている部分などはありますか?

福島卓:物件の価値が将来も存続し続けるもの。同時にそういう物件にしていきたいとも思いますし、自分が住みやすいかどうか・・例えば主要駅に近い、駅は近くなくてもバスでのアクセスがいい、学校が近くにある、大きなスーパーやショッピングモールが近くにある、開発地や予定地からそう遠くない場所、などを意識しています。

不動産投資に必要な経営力とは何か

福島卓:私が考える不動産における経営力はいくつかあります。
まずは「入口から出口までしっかりと考える力」は必要かなと思います。どんな物件を購入するかをしっかり考えるとともに、どれだけ収益を継続して得られるか、もしその建物がなくなったときに土地をどう活用できるか、もし売却するとしたらいくらで売却できて、いくら利益が出るのかなどを、世の中の流れを踏まえてしっかりと考えておく力は、ぜひ持っていたい力の一つです。

2 つ目は「物件のことと入居者様のことに責任を持つ覚悟」です。物件は古くなれば修繕が必要です。お金は掛かりますが、できるだけ入居者様に気持ちよく住み続けていただけるような綺麗な建物にしておくとともに、老朽化や損壊で迷惑がかからないように、責任を持って管理する必要があります。収益が減るから修繕せずにそのままにしておくのも選択肢の一つだとは思いますが、オーナーと入居者様がWin-Win の関係を維持できれば、空室率が減り、ひいては利回りが良くなるという流れを作ると考えています。

最後は「数字にしっかり向き合う計算力」です。私自身は任せっきりになりがちなのですが・・・不動産に限らず、経営は自ら収入を生み、支出を伴って利益を上げるものです。不動産投資も同じく、どれだけ売上があって、どんな支出があって、長い目で見てどれだけの収入があるのか。こういった部分を見れないと、本当に物件が必要なのか判断が難しいと思います。やはり数字ありきで購入するべきだと考えていますので、リスクのある投資をしないで済むように数字にはしっかり向き合う力が経営者には必要かなと思います。
福島 卓先生 x 大久保 圭祐 : 100CHインタビュー(3)

<福島 卓>

司法書士、行政書士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、終活カウンセラー
ふくおか司法書士法人代表、べっぷ・ふくおか行政書士法人代表。相続・遺言手続センター福岡支部、NPO法人ふくおか終活・相続支援センター理事。
福岡市出身、大分県別府市育ち。平成21年創業、平成24年に「ふくおか司法書士法人」として法人化。福岡市、糸島市を中心に不動産に関する相続や遺言に関する業務を専門的に行っている。相談件数は年間100件を超え、相続手続きや相続対策など数多くの相談に対応する。自身の祖母の相続時に親・叔父叔母の相続人間でもめた体験から、相続の専門家として相続トラブルを未然に防ぐお手伝いをしたいと考え、法的サービスの普及のため、県内各地で相続、終活に関するセミナーや勉強会、無料相談会を定期的に開催している。ふくおか1気軽に相談できる事務所を目指す。

▶ホームページ:ふくおか司法書士法人

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